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解決済みの質問

過払い裁判 オリコ側からの推定計算

過払い請求の裁判をしていて準備書面を作っているのですが、
オリコに15年以上の取引履歴だしてもらい、計算すると200万以上の過払いがあり、 過払い請求したらオリコ側から取引履歴にもの載っていないのに、12年前に50万貸したと推定計算でだされたのですが
貨りてもいない50万を認めたくないし、50万も貨りたら覚えてる!!取引履歴にも載っているはずでしょ!!って裁判してるんだけど・・・
オリコ側の推定計算を裁判で却下された判例ってないですか?
準備書面に添付して提出したいのですが

投稿日時 - 2008-07-11 14:13:54

QNo.4168196

困ってます

質問者が選んだベストアンサー

>オリコ側の推定計算を裁判で却下された判例ってないですか?

事例の内容が分かりません。架空の貸金を出してきたのか、別カードの貸金を出してきたのか、などなど。オリコの判例を出したところで、同じ事例でなければ全く効果がありません。ちなみに弁護士のいる裁判なら弁護士が自分で計算してしまうので、貸金業者の推定計算なんて使わないです。貸金業者の推定計算なんて普通はデタラメですよ。

何か50万についてわかる書証とかでていませんか?オリコが被告なら、答弁書か準備書面で、その該当箇所に証拠番号として乙○号証とかなっているはずです。

何もわかるものがなければ、相手はただ言っているだけということになります(もしかしてオリコ社員が本人訴訟?負けることが分かっているので弁護士費用がもったいないから貸金業者はよくこれをやります)。その場合には、立証不十分となって認められないことになります。証拠があれば立証十分となり、認められることになります。ここは勘違いをしないように入念に検討してください(個人的には弁護士さんに依頼することをすすめます。)

なお、言っておきますが、貸金業者の推定計算(引直計算ともいう)というのは全く当てにしてはいけません。結構めちゃくちゃな計算が多いです。何でこんな計算をするかというと「ちょっとでも取られないようにする」ためです。ご自分できちんと計算してみてください。通常は過払い金がさらにあることが多いです。準備手続きが終わってしまうと証拠が出せなくなるので、計算して証拠として出すのなら今のうちです。(ちなみに相手がその50万の証拠を出すなら準備手続きのときです)

名古屋信用消費者問題研究会
http://www.kabarai.net/
↑このサイトの左の真ん中にある利息計算ソフトで計算してみてください。よくできてます。利息制限法の金利で計算すれば十分です。遅延損害金は質問者さんの方で計算する必要はありません。面倒ですが、取引履歴を基に正確に日単位で計算してください。推定計算と違う結果が多いですよ。

計算する場合に気をつけなければならないことは、相手が時効だから返さない、と言っていても信用しない。自分ですべて確認しながら計算することです。

過払いで通常、時効が認められるもの(=質問者さんに返さなくてもよい金)は、(1)いったん返済が終わっている(返済終了で取引が途切れている)+(2)返済終了から10年以上たっている、の二者ともに認められる場合だけです。10年以上継続的に取引しているのなら10年以上前でも過払いの対象になります。いったん途切れていても10年以内なら過払いの対象になります。

>12年前に50万貸したと推定計算でだされた
この債権については、取引開示に出ていないのなら、そのクレジットカードで借りたことは証明できていません。ですので、証拠があるのなら出せ、といえばいいのです。仮に証拠があって、質問者さんが借りたことを思い出したら、これは時効を主張することもありかと思いますが、質問者さんが時効を主張する時は気をつけてください。それを主張することは債務の承認になりかねませんので。そういう意味で、この取引履歴があるのなら出せ、といってその存在と、仮にあったとしたら、何年前が最後の返済なのかを見てください。借りたことは思い出したが、この10年間、その50万円については全く返済していなかったら、時効を主張する方がいいでしょう(十分気をつけてくださいね)。

ちなみに口頭弁論に入ってしまうと証拠が基本的に出せなくなるので、弁護士さんに頼んでも訴訟しずらいですよ。ですので、費用はかかりますが、額が額だけに、今のうちに(弁論準備手続中に)弁護士さんに頼むのが一番だと思いますが。

投稿日時 - 2008-07-11 19:10:54

ANo.1

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回答(5)

ANo.5

No4で収まるかと思ったら、収まりませんでした…
ということでNo3、No4に続いてさらに判例を挙げておきます。

【最高裁平成17年7月19日民集59巻6号1783頁】
過払金等請求事件
最高裁判所第三小法廷平成16年(受)第965号
平成17年7月19日判決
       主   文
原判決を破棄する。
本件を大阪高等裁判所に差し戻す。
       理   由
 上告代理人B,同Aの上告受理申立て理由について
1 原審の確定した事実関係の概要等は,次のとおりである。
(1)被上告人は,貸金業の規制等に関する法律(以下「貸金業法」という。)3条所定の登録を受けて貸金業を営む貸金業者である。
(2)被上告人は,第1審判決別紙「利息制限法による計算書」記載のとおり,平成4年2月26日から平成14年10月10日まで,109回にわたって上告人に金銭を貸し付け,129回にわたって上告人から弁済を受けた。
(3)上記各貸付け(以下「本件各貸付け」という。)の約定利率は,利息制限法1条1項所定の制限利率を超過している。
(4)A弁護士は,平成14年10月,上告人から債務整理を依頼され,同年11月1日付け通知書で,被上告人に対し,上告人の代理人となる旨の通知をするとともに,上告人と被上告人との間の全取引の明細が整わないと返済の計画を立てることができず,返済案の提示が遅れる旨付記した上,過去の全取引履歴の開示を要請した。しかし,被上告人は,取引履歴を全く開示しなかった。
(5)A弁護士は,同月25日,同弁護士の事務所の事務員(以下「事務員」という。)に指示して、債権届を至急提出するよう被上告人に電話連絡をさせた。その際,被上告人の担当者は,和解を前提とする話合いを申し出たが,事務員は,先に取引履歴の開示を求める旨返事をした。
(6)A弁護士は,同年12月10日及び平成15年1月10日にも,事務員に上記電話連絡と同様の電話連絡をさせ,さらに,同年2月12日付け書面及び同年3月13日付け取引履歴開示請求書により全取引履歴の開示を求めたが,被上告人はこれに応じなかった。 
(7)上記取引履歴開示請求書には,B弁護士も上告人の代理人になること,同年3月20日までに取引履歴を開示するよう求めることが記載されていたので,被上告人の担当者は,同月14日,B弁護士に電話をして和解を申し出たが,同弁護士は,早急に取引履歴の開示を求めると言ってこれを断り,同年4月4日の電話で,被上告人に対して更に取引履歴の開示を求めた。これに対して,被上告人の担当者は,「みなし弁済の規定の適用を主張する。和解交渉をさせていただくが,取引履歴の開示はできない。」と答えた。
(8)B弁護士と被上告人の担当者との間では,同月15日,16日にも電話で同様のやり取りがあり,結局,上告人は,同月18日,本件訴訟を提起した。
(9)本件訴訟は,上告人が,被上告人に対し,本件各貸付けにつき支払われた利息について,利息制限法1条1項に定める利息の制限額を超える部分を元本に充当すると過払金が生じているとして,不当利得返還請求権に基づき,過払金の返還を求めるとともに,貸金業者である被上告人は,貸金業法等の法令又は契約関係から生ずる信義誠実の原則に基づき取引履歴の開示義務があるのに,合理的な理由なく上告人からの開示要求に応じなかったものであり,そのために上告人の債務整理が遅れ,上告人は精神的に不安定な立場に置かれたとして,不法行為による慰謝料の支払を求めるものであるが,過払金の返還請求については,第1審で認容され,被上告人はこれに対して不服を申し立てなかった。
(10)被上告人は,本件訴訟(第1審)において上告人との間の全取引履歴の開示をした。
2 原審は,上記事実関係の下において,次のとおり判断し,上告人の慰謝料請求を棄却すべきものとした。
(1)貸金業法その他の法令上,貸金業者の取引履歴の開示義務を定めた明文規定はない。貸金業法19条は,取引履歴の開示義務を定めたものではなく,金融庁事務ガイドライン3-2-3は,行政上の監督に関する指針と考えられるもので,法的な権利義務を定めたものとは理解できないし,その内容も一般的な開示義務があるとしたものとは理解し難い。また,貸金業者と債務者との間には,契約関係があり,これに基づく権利の行使及び義務の履行は,信義に従い誠実に行うべきものであるが,信義誠実の原則から,当然に,取引履歴の開示義務が導かれると解することも困難である。
(2)債務者の開示要求に対し,貸金業者が取引経過に関する情報を開示しないことが,信義誠実の原則に著しく反し,社会通念上容認できないものとして,不法行為上,違法と評価される場合もあり得る。
しかし,本件の場合,上告人は,債務を確定し債権者への平等弁済等を図るためではなく,過払金返還請求をするために,取引履歴の不開示による上告人の債務整理手続への影響等の個別事情は一切明らかにせず,取引履歴の開示要求をしたものであり,これに応じなかった被上告人の行為をもって,信義則に著しく反し,社会通念上容認できないものとして,不法行為上違法と評価され,損害賠償義務が発生すると断定することは困難である。
(3)債務整理が遅れたことによる上告人の精神的負担は,消費貸借という取引行為に起因するものであるから,基本的には,過払金返還請求(遅延損害金を含む。)が認められることにより損害がてん補される関係に立つものというべきであり,それを超えた特別の精神的損害が発生するような事情は見当たらない。
3 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次のとおりである。
★(1)貸金業法19条及びその委任を受けて定められた貸金業の規制等に関する法律施行規則(以下「施行規則」という。)16条は,貸金業者に対して,その営業所又は事務所ごとに,その業務に関する帳簿(以下「業務帳簿」という。)を備え,債務者ごとに,貸付けの契約について,契約年月日,貸付けの金額,貸付けの利率,弁済金の受領金額,受領年月日等,貸金業法17条1項及び18条1項所定の事項(貸金業者の商号等の業務帳簿に記載する意味のない事項を除く。)を記載し,これを保存すべき義務を負わせている。そして,貸金業者が,貸金業法19条の規定に違反して業務帳簿を備付けず,業務帳簿に前記記載事項を記載せず,若しくは虚偽の記載をし,又は業務帳簿を保存しなかった場合については,罰則が設けられている(同法49条7号。貸金業法施行時には同条4号)。
(2)貸金業法は,貸金業者は,貸付けに係る契約を締結するに当たり,17条1項所定の事項を記載した書面(以下「17条書面」という。)を債務者に交付し,弁済を受けた都度,直ちに18条1項所定の事項を記載した書面(以下,17条書面と併せて「17条書面等」という。)を弁済者に交付すべき旨を定めている(17条,18条)が,長期間にわたって貸付けと弁済が繰り返される場合には,特に不注意な債務者でなくても,交付を受けた17条書面等の一部を紛失することはあり得るものというべきであり,貸金業法及び施行規則は,このような場合も想定した上で,貸金業者に対し,同法17条1項及び18条1項所定の事項を記載した業務帳簿の作成・備付け義務を負わせたものと解される。
(3)また,貸金業法43条1項は,貸金業者が業として行う金銭消費貸借上の利息の契約に基づき,債務者が利息として任意に支払ったものについては,利息制限法1条1項に定める利息の制限額を超えるものであっても,17条書面等の交付があった場合には有効な利息債務の弁済とみなす旨定めており(以下,この規定によって有効な利息債務の弁済とみなされる弁済を「みなし弁済」という。),貸金業者が利息制限法1条1項所定の制限利率を超える約定利率で貸付けを行うときは,みなし弁済をめぐる紛争が生ずる可能性がある。
★(4)そうすると,貸金業法は,罰則をもって貸金業者に業務帳簿の作成・備付け義務を課すことによって,貸金業の適正な運営を確保して貸金業者から貸付けを受ける債務者の利益の保護を図るとともに,債務内容に疑義が生じた場合は,これを業務帳簿によって明らかにし,みなし弁済をめぐる紛争も含めて,貸金業者と債務者との間の貸付けに関する紛争の発生を未然に防止し又は生じた紛争を速やかに解決することを図ったものと解するのが相当である。金融庁事務ガイドライン3-2-3(現在は3-2-7)が,貸金業者の監督に当たっての留意事項として,「債務者,保証人その他の債務の弁済を行おうとする者から,帳簿の記載事項のうち,当該弁済に係る債務の内容について開示を求められたときに協力すること。」と記載し,貸金業者の監督に当たる者に対して,債務内容の開示要求に協力するように貸金業者に促すことを求めている(貸金業法施行時には,大蔵省銀行局長通達(昭和58年9月30日付け蔵銀第2602号)「貸金業者の業務運営に関する基本事項について」第2の4(1)ロ(ハ)に,貸金業者が業務帳簿の備付け及び記載事項の開示に関して執るべき措置として,債務内容の開示要求に協力しなければならない旨記載されていた。)のも,このような貸金業法の趣旨を踏まえたものと解される。
★(5)以上のような貸金業法の趣旨に加えて,一般に,債務者は,債務内容を正確に把握できない場合には,弁済計画を立てることが困難となったり,過払金があるのにその返還を請求できないばかりか,更に弁済を求められてこれに応ずることを余儀なくされるなど,大きな不利益を被る可能性があるのに対して,貸金業者が保存している業務帳簿に基づいて債務内容を開示することは容易であり,貸金業者に特段の負担は生じないことにかんがみると,貸金業者は,債務者から取引履歴の開示を求められた場合には,その開示要求が濫用にわたると認められるなど特段の事情のない限り,貸金業法の適用を受ける金銭消費貸借契約の付随義務として,信義則上,保存している業務帳簿(保存期間を経過して保存しているものを含む。)に基づいて取引履歴を開示すべき義務を負うものと解すべきである。そして,貸金業者がこの義務に違反して取引履歴の開示を拒絶したときは,その行為は,違法性を有し,不法行為を構成するものというべきである。
(6)前記事実関係によれば,上告人の取引履歴の開示要求に上記特段の事情があったことはうかがわれない。そして,上告人は,債務整理を弁護士に依頼し,被上告人に対し,弁護士を通じて,半年近く,繰り返し取引履歴の開示を求めたが,被上告人がこれを拒絶し続けたので,上告人は,その間債務整理ができず,結局,本件訴訟を提起するに至ったというのであるから,被上告人の上記開示拒絶行為は違法性を有し,これによって上告人が被った精神的損害については,過払金返還請求が認められることにより損害がてん補される関係には立たず,不法行為による損害賠償が認められなければならない。
4 以上と異なる見解に立って,上告人の被上告人に対する請求を棄却すべきものとした原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。論旨は,上記の趣旨をいうものとして理由があり,原判決は破棄を免れない。そして,慰謝料の額について更に審理を尽くさせるため,本件を原審に差し戻すこととする。
 よって,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 濱田邦夫 裁判官 上田豊三 裁判官 藤田宙靖 裁判官 堀籠幸男)

投稿日時 - 2008-07-14 18:40:30

お礼

本当にありがとうございました。
いくら、お礼を言っても足りないくらいです。
おかげさまで準備書面も書け、判例も添付することができます。

ちなみに、オリコが提出してきた判例です
東京地裁平成20年4月9日判決言渡
【平成18年(ワ)第5309号】不当利得返還請求事件
 裁判官 大島淳司

名古屋地裁平成20年6月13日判決言渡
【平成19年(ワ)第2062号】不当利得返還請求事件
 裁判官 寺本明弘

投稿日時 - 2008-07-17 10:11:03

ANo.4

すいません。No3の続きです。判例だけなんですが。

【千葉地裁平成18年9月21日判例集未登載】
不当利得返還等請求事件
千葉地方裁判所平成17年(ワ)第73号
平成18年9月21日民事第3部判決
口頭弁論終結日 平成18年7月13日
       主   文
1 被告は,原告に対し,203万9462円及び内191万0961円に対する平成16年1月28日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
3 この判決は仮に執行することができる。
       事実及び理由
第1 請求
 主文同旨
第2 事案の概要
 本件は,貸金業者である被告との間で借入及び返済を繰り返していた原告が,利息制限法所定の制限の範囲内で充当計算をすると過払になると主張して,不当利得返還請求権に基づき過払金191万0961円及びこれに対する平成16年1月28日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による法定利息の支払を求めるとともに,同月27日までに過払金につき生じた商事法定利率年6分の割合による法定利息12万8501円の支払を求める事案である。
1 前提事案
 原告は,平成2年4月18日から,コーエ-クレジット株式会社(以下「コーエー」という。)との間で,金銭の借入と返済を繰り返し,被告が同金銭消費貸借取引を承継した後は,被告との問で借入と返済を繰り返してきたが,これらの借入に係る約定利率は,利息制限法所定の制限利率を超過している。
 原告は,上記取引において,平成5年11月2日から平成16年1月27日まで,別紙「計算書」の「借入金額」欄の金員を対応する「年月日」欄の日に借入れ,「弁済額」欄の金員を対応する「年月日」欄の日に弁済した。
(争いがない事実)
(2)当裁判所は,平成17年12月26日,被告に対し,「被告作成に係る,被告の業務に関する商業帳簿(貸金業の規制等に関する法律(以下「貸金業法」という。)19条に定める帳簿)若しくはこれに代わる貸金業の規制等に関する法律施行規則16条3項,17条2項に定める書面又はこれらの書面により作成された書面であって,原告と被告との間の平成2年4月18日から平成5年10月3日までの期間内における金銭消費貸借取引(コーエーとの取引を含む。)に関する事項(貸付年月日,貸付金額,弁済年月日及び弁済金額)が記載された部分(電磁的記録を含む。)」の提出を命ずる決定をし(平成17年(モ)第469号)、平成18年2月7日,同決定に対する被告の即時抗告は棄却されたにもかかわらず(東京高裁平成18年(ラ)第153号),被告は,上記文書を提出しない。
(当裁判所に顕著な事実)
2 当事者の主張
(原告の主張)
(1)平成5年10月3日における原告の借入金残高
 被告が開示した同日の原告の借入金残高は,47万8079円であるが,この額は,利息制限法所定の制限額を超える利息を支払った結果によるものと推測され,信用に値しない。そして,被告は,文書提出命令が確定したにもかかわらず,同日以前の取引履歴に関する文書を提出しない。このような被告の態度からすると,同日において原告は過払となっていた可能性も否定することができない。したがって,同日の借入金残高を0円とするのが公平かつ合理的である。従前,原告は,同日における借入金残高を7万2548円と推定計算したことがあったが(平成17年5月9日付け訴え変更の申立書,甲イ11),同計算における各月の具体的残高を記憶していたものではないし,最終的な過払額を算出するために取引経過を仮定して算出した仮の数値にすぎない。 
 仮に平成5年10月3日において原告に借入金残高があったとしても,その額は,5万3573円を超えないと推定される。
(2)被告が民法704条にいう「悪意の受益者」であること
 被告は,貸金業者であるところ,貸金業法43条のみなし弁済について具体的な主張立証をしていないから,利息制限法所定の制限を超える利息契約が無効とされ,原告に過払金が生じているとされることは,被告にとって明らかである。したがって,被告は,民法704条にいう「悪意の受益者」に当たる。
(3)過払金に対する法定利息の利率
 被告は,金銭の貸付等を業として行う株式会社であり,本訴請求に係る過払金を営業のために利用して収益を上げていたから,過払金に対する民法704条による法定利息の利率を,商事法定利率である年6分と解することが,同条の趣旨に合致する。
(4)過払金返還請求権が時効により消滅していないこと
ア 過払金返還請求権は,個別取引の中で各支払のたびに別個の請求権として発生するのではなく,一連の継続的取引の中で発生したり,次の貸付けと相殺されるなどして消滅するものであるから,取引が継続している限りは,時効消滅することはないと解すべきである。
イ 過払金返還請求権の消滅時効の起算点は,借主が貸金業者との関係で過払金が発生していることを知った時と解すべきである。なぜなら,〔1〕通常,貸金業者は過払であることを知りながら借主に弁済を求めるため,借主は負債が残っていると誤信し,求められるままに弁済を続けるから,このような事実状態を尊重する必要はなく,〔2〕貸金業者は,反復継続的な取引履歴をすべて管理することができる立場にあり,立証の困難はなく,〔3〕借主は,過払であることを認識していないから,権利の上に眠る者とはいえないからである。被告は,過払であることを知りながら,原告に返済を求め続け,原告は,弁護士に相談するまで,過払となっていることを知らなかったから,本訴提起の直前まで,過払金返還請求権を行使することはできなかった。したがって,消滅時効は完成していない。
(5)被告の消滅時効の援用が信義則に反すること
 被告は,平成16年2月26日に平成14年6月27日以降の取引履歴しか開示せず,本訴の提起後に平成7年3月2日以降の取引履歴を開示し,さらに,裁判所からの釈明の後に,平成5年10月3日以降の取引履歴を開示したものの,同日以前の取引履歴に関する文書については,文書提出命令が確定したにもかかわらず,その提出を拒んでいる。このため原告は正確な過払金額の算出ができない。このように過払となった後も残元金があるかのように装って原告に返済を求め,取引履歴を管理することができる立場にありながら開示に協力しない被告の態度に照らすと,被告が消滅時効を援用することは,信義則上許されないというべきである。
(被告の主張)
(1)平成5年10月3日における原告の借入金残高
 従前,原告は,同日における借入金残高を7万2548円と推定計算し(甲イ11),同計算を基に過払金を請求していた(平成17年5月9日付け訴え変更の申立書)。同計算は,原告の記憶に基づくものと推認され,その記憶に基づいても,平成5年10月3日における借入金残高は0円ではない。
 また,同日の借入金残高を5万3573円とする原告の推定は,毎月1万5358円という中途半端な金額を返済するという現実にあり得ない取引を前提に計算したものであり,認めることができない。
(2)被告が民法704条にいう「悪意の受益者」に当たらないこと
 被告は,原告に対する金員貸付けに当たり貸金業法17条の書面を,貸付金の返済を受けるに当たり同法18条の書面を,それぞれ交付し,原告の利息の支払は任意にされたから,同法43条1項のみなし弁済の要件を充足している。被告は,みなし弁済が成立すると認識しているため,民法704条の悪意の受益者に当たらない。
(3)過払金に対する法定利息の利率
 過払金債権は,法律の規定によって発生する民事上の不当利得返還請求権であり,商法514条が適用又は類推適用されるべき商行為によって生じた債権又はこれに準ずるものではない。また,原告は一消費者であって商人ではないから,原告が本件利得を運用することによって取得することのできた利益は,民事法定利率により算定されるべきであり,商事法定利率を適用すべき根拠はない。
(4)過払金返還請求権が時効により消滅していること
 利息制限法所定の制限を超えて支払われた利息についての不当利得返還請求権は,元本完済後の個々の弁済行為に基づいて発生する別個の債権であり,これらを全体として一つのものとみることはできない。そして,各不当利得返還請求権について消滅時効の起算点は,その発生原因である個々の弁済行為の時と解すべきである。したがって,本件訴えが提起された平成17年1月18日から10年をさかのぼった平成7年1月17日以前に発生した不当利得返還請求権は,時効により消滅しているから,被告はこれを援用する。
(5)消滅時効の援用が信義則に反しないこと
 被告は,貸金業法43条のみなし弁済が成立すると考えているから,残元金があるかのように装った事案はない。また,取引履歴の開示に関する主張は,消滅時効の成否とは別の論点であり,この論点が消滅時効の成否に影響することはない。
3 争点
 以上によれば,本件の争点は,次の各点にある。
(1)平成5年10月3日における原告の借入金残高(争点1)
(2)被告が民法704条にいう「悪意の受益者」に当たるか。(争点2)
(3)過払金に対する法定利息の利率(争点3)
(4)平成7年1月17日以前に発生した過払金返還請求掛こついて,消滅時効が完成したか。(争点4)
(5)被告の上記消滅時効の援用が信義則に反し許されないか。(争点5)
第3 争点に対する判断
1 争点1(平成5年10月3日における原告の借入金残高)について
 前記第2の1(1)のとおり,原告と被告との間の金銭消費貸借取引は,平成2年4月18日からの原告とコーエーとの間の金銭消費貸借取引を承継したものであるところ,同日から平成5年10月3日までの期間にされた個々の借入及び弁済の具体的な年月日及び額については,本件全証拠によっても認定することができない。
★そして,前記第2の1(2)のとおり,被告は,上記期間における借入及び弁済の年月日及び額が記載された文書の提出を命じられたにもかかわらず,これに従わないところ,上記期間の個々の取引内容を把握していない原告においては,被告が提出を命じられた上記文書の記載に関し具体的な主張をすること及び上記文書により証明すべき事実を他の証拠により証明することが著しく困難であるといわざるを得ない。
 したがって,民訴法224条3項により,上記期間の取引内容についての原告の主張を真実と認めるのが相当であるから,平成5年10月3日における原告の借入金残高は0円と認めることとする。
2 争点2(被告が民法704条にいう「悪意の受益者」に当たるか。)について
★被告は,本件に貸金業法43条の規定が適用されることを基礎付ける具体的事案を何ら主張,立証しないから,貸金業者として貸金業法17条1項及び18条1項に規定する各書面を交付することなく貸付けをし,利息制限法所定の制限額を超える利息を受領したというべきであり,民法704条にいう「悪意の受益者」に当たると解するのが相当である。
3 争点3(過払金に対する法定利息の利率)について
 利息制限法所定の制限額を超えて支払われた利息についての不当利得返還債務は,直接的には法律の規定に基づいて発生するものである。
 しかし,商法514条が商行為によって生じた債務についての法定利率を年6分と規定するのは,商人が金銭を有利に利用することができることを考慮したものであり,また,民法704条において悪意の受益者がその受けた利益に利息を付して返還しなければならない旨が定められているのは,法律上の原因のない利得から得られた収益を悪意の受益者の手元に残させないようにする趣旨によるものと解される。
 原告が利息制限法所定の制限額を超えて支払った利息について被告が負う不当利得返還債務は,貸金業者である被告の貸付け及び弁済の受領という商行為に由来するものであり,また,被告は,民法704条の悪意の受益者として,その受けた利益を自己の営業のために利用して収益を上げたものということができる。このような不当利得金に付すべき法定利息の利率については,商事法定利率の年6分と解することが,上記の商法514条及び民法704条の各規定の法意に沿うものというべきである。
4 争点5(被告の消滅時効の援用が信義則に反し許されないか。)について
(1)本件における被告による取引履歴の開示の経過は,次のとおりであると認められる(証拠によって認定した事案については,末尾に当該証拠を掲記した。その余の,当裁判所に顕著である。)。
ア 平成16年2月26日に,被告が原告代理人弁護士に対して開示した取引履歴は,平成14年6月27日以降のものに限られ,それのみを基に利息制限法所定の制限の範囲内での充当計算をしても,過払とはならないものであった。
(甲イ2,3)
イ そこで,原告は,被告に対する過払金残高を推定して計算することを余儀なくされ,その額を現時点での請求金額よりも大きく下回る32万5605円と一応推定して,平成17年1月18日,その返還を求める本件訴えを提起した。
ウ これに対し,被告は,平成17年7月8日の弁論準備手続において,同日付け準備書面を陳述し,平成7年3月2日以降の取引履歴は,乙1,同2号証のとおりであるが,それ以前の取引内容は知らないと主張し,同日以降の取引履歴しか開示しなかった。
エ その後,被告は,平成17年10月27日の弁論準備手続において,平成5年10月3日以降の取引履歴を明らかにした文書(乙6。平成17年10月作成)を提出した。
(2)さらに,被告は,平成2年4月18日から平成5年10月3日までの期間における借入及び弁済の年月日及び額が記載された文書の提出を命じられたにもかかわらず,これに従わないことは,前記第2の1(2)のとおりである。
(3)借主が,貸金業者との間の金銭消費貸借取引により生じた過払金について,不当利得返還請求権を行使するためには,両者間における借入及び弁済の年月日及び金額についての正確な内容を把握していることが,必要不可欠である。また,貸金業者は,借主から取引履歴の開示を求められた場合には,貸金業法の適用を受ける金銭消費貸借契約の付随義務として,信義則上,保存している業務に関する帳簿に基づいて取引履歴を開示すべき義務を負うものである(最高裁平成16(受)第965号同17年7月19日第三小法廷判決・民集59巻6号1783頁)。
 前記のとおり,被告は,原告が本件訴えを提起する前においては,取引履歴の一部を開示しただけであり,しかも,それだけに基づいて利息制限法所定の制限の範囲内での充当計算をしても,過払とならないものであったというのであるから,被告は,上記の信義則上の義務に違反し,原告の過払金返還請求権の行使を現実に妨げたものといわなければならない。そして,被告のこのような態度は,本訴提起後においても一貫しており,被告は,一部の取引履歴を開示するにとどまり,その余の取引履歴については,文書提出命令に従わずに開示を拒んでいるため,いまだに正確な取引内容は判明しておらず,民訴法224条3項を適用することによって,辛うじて取引内容を認定することができたにすぎない。このように,被告が,原告の過払金返還請求権の行使を妨げることに終始する以上,被告がその消滅時効を援用することは,訴訟上の信義則に反するものといわざるを得ず,これを許すことはできない。
 したがって,被告の時効消滅の主張は,争点4(消滅時効の完成)について判断するまでもなく,採用することができない。
5 以上によれば,原告の過払金及びこれに対する法定利息の額は,別紙「計算書」のとおり算定されるから,原告の請求は理由がある。
 なお,仮執行免脱宣言については,相当でないから,これを付さないこととする。
千葉地方裁判所民事第3部
裁判官 阪本勝

投稿日時 - 2008-07-14 18:39:06

ANo.3

No2のさらに補足です。
かなりの長文になってしました…

長すぎて、書き込みできなかった(!)ので2回にわけますね。
最初にNo3、そしてその続きでNo4にします。

〉オリコ側は、答弁書に貸金業者の推定計算が却下された判例があるなら提出されたいと・・・ 
(個人訴訟で提出できるものならしてごらんって感じが嫌です)

なるほど、そういうことですか。
相手弁護士は質問者さんが立証(正確には反論・反証)できないだろうということを踏んで、こういう主張をしているわけですね。弁論主義を逆手に取ってますね。

もしかして、相手弁護士が出してきた判例というのは、事件番号平成16年(ワ)第27088号の、東京地方裁判所平成17年9月28日ですか?(これは最高裁までいったもので、最高裁の年月日は、平成19年7月19日民集61巻5号2175頁)。

仮にこの東京地裁の判例を出してきたのなら、反論すれば問題ありません。(この後は、とりあえず、どの判例が出されたのか分からないので、私が見つけたこの判例で答えます。年月日とページ数などを出してくれれば調べることができるかもしれませんが・・・。)この東京地裁平成17年9月28日の判例は、確かに「被告(=借りた人)においては、この推定を覆すに足りる別の推定計算を主張・立証(反論・反証)していないから、このように(貸金業者が出した推定計算を)認めるのが相当である。」としていますが、これは借りた人が認めている場合だったときです。(相手からもらった判例全文は手元にありますよね?)。

推定計算だけでは無理だという判例、すなわち、今回でいえば50万円を借りたという明確な取引履歴をださなければ、借りた人が否認している場合にそんなものは認められない、という判例をいくつか見つけましたので、それを全文UPしておきますね。ちなみに相手はオリコではありませんが、同じでなくてもよいのです、裁判所はこういう立場に立っていますよ、ということを示せればいいのですから。ちなみにそれでもその50万円の取引を明示した取引履歴を出さないならば、オリコに対して文書提出命令を裁判所に申し立てるという手もあります。

なお、いずれの判例も、kら資金業者側からそれがわかる取引履歴がなければ、それなくしてなした推定計算なんて認められないよ、という判例です。それぞれ別々の事案ですが、簡易裁判所のもの、地方裁判所のもの、最高裁のものをあげてみました。ただし、私が理解した事案は質問者さんの書かれている内容がすべてですので、それ以外の事情がある場合には、必ずしも使えないかもしれない判例だということは忘れないでくださいね。また、【】でくくった判例の表示は相手方に示すときは必須です。一つ未登載がありますが、事件番号を表示すれば問題ないです。以下の判例から前文見せればいいと思うのですけど。

質問者さんが気をつけて読むべきところは、★を入れておきますので、プリントアウトと化するときには抜いてくださいね

あと、相手に弁護士がいるとなるとすると、質問者さんに弁護士さんがいないのはかなり不利だということは知っておいてくださいね。(やっぱり弁護士を委任することをお勧めします)


【本庄簡裁平成19年6月14日判例タイムズ1254号199頁】
本庄簡易裁判所
平成18年(ハ)第23号 貸金返還請求事件
平成18年(ハ)第70号 不当利得返還請求反訴事件
平成19年6月14日判決       
主   文
1 原告(反訴被告)は,被告(反訴原告)に対し,金121万0596円及び内金97万9000円に対する平成17年7月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告(反訴被告)の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,本訴反訴を通じ,原告(反訴被告)の負担とする。
4 この判決は仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 請求
(本訴)
 被告(反訴原告)は,原告(反訴被告)に対し,金23万4011円及びこれに対する平成17年9月28日から支払済みまで年26.28パーセントの割合による金員を支払え。
(反訴)
 主文同旨
第2 事案の概要
1 本訴請求
 本件は,貸金業者である原告(反訴被告)が,被告(反訴原告)と平成12年5月15日,ローンカード「アメニティ」会員契約(利率年25パーセント,遅延損害金10万円未満年29.20パーセント,10万円以上100万円未満年26.28パーセントとする金銭消費貸借契約)を締結し,平成12年5月22日から同17年7月20日までの間,別紙計算書の「取引日欄」,「借入額欄」,「返済額欄」記載のとおり貸し付けと返済を繰り返し(争いがない。以下「第3取引」という。),利息制限法の利率による再計算に基づいて残元金と遅延損害金の支払いを請求している事案である。
2 反訴請求
 本件は,被告(反訴原告)が,原告(反訴被告)との間で,上記取引以前に平成6年12月2日,金165万1100円借入れの金銭消費貸借契約(以下「第1取引」という。)及び同8年8月12日,金10万円借入れの金銭消費貸借契約(以下「第2取引」という。)を締結し,第1取引については同11年12月13日,第2取引については同9年6月12日,いずれも債務を完済したが(乙4,株式会社群馬銀行深谷支店の預金取引履歴明細表に基づく推定計算),第1取引から第3取引を通算して計算すると別紙計算書記載のとおり過払金が発生している他,原告(反訴被告)は過払金に関し,民法704条所定の悪意の受益者であるとして,過払金発生時以降の同条所定の法定利息の支払を,不当利得として返還請求している事案である。
3 争いのない事実等
(1)原告(反訴被告)(以下「反訴被告」という。)は,貸金業の規制等に関する法律により登録を受けた貸金業者であり,被告(反訴原告)(以下「反訴原告という。」)に対し,利息制限法を超える金利で貸付を行っていた。
(2)反訴原告と反訴被告の間には上記第3取引が存在する(甲1)。
(3)反訴原告と反訴被告との間には,第3取引以前に,遅くも平成6年12月頃には取引が開始され,以後,同7年1月12日から同17年7月20日までの間,反訴原告の群馬銀行深谷支店の預金通帳から返済金の引き落としがなされている(乙4)。
(4)上記引き落とし中,平成12年7月12日以降の引き落とし額は,反訴被告の入金履歴と合致している(甲3,乙4)。ただし,同12年10月17日,14年4月17日,5月3日,7月17日,16年6月17日の各105円及び17年3月25日の1万5067円の入金(甲3)は預金通帳(乙4)からの引き落としではない。また,同17年1月4日の3万0150円,3月7日の1万5000円及び7月20日の1万5100円の各入金額(甲3)は預金通帳(乙4)からの各引き落とし額(3万0570円,1万5210円,1万5310円)を下回るが,この異同については反訴原告が甲3の額を入金額と認めた。
4 争点
(1)第3取引以前の取引の内容(平成6年12月2日及び同8年8月12日の借入額)。
(反訴原告の主張)
 反訴原告と反訴被告との間には,遅くとも平成6年12月頃には取引が開始され,同7年1月12日から反訴原告の群馬銀行深谷支店の預金通帳から返済金の引き落としがなされている。同6年12月当時の反訴原告の資金需要と上記引き落とし総額を基にアドオン方式によって推定計算したものが金165万1100円借入の第1取引であり,また,同8年8月の反訴原告の新たな資金需要と上記預金通帳からの引き落とし額を基に推定計算したものが金10万円借入の第2取引である。なお,第1取引及び第2取引の各返済金の引き落としは並行して行われている。
(反訴被告の主張)
 第1,第2取引は,第3取引の基本契約に基づく取引ではなく,基本契約を異にする別個の契約であるから,すべての取引を一体として引き直し計算することは不合理である。
 平成7年1月12日から同11年12月13日までの各入金は,金銭消費貸借契約に基づく債務の弁済とは限らず,立替払契約に基づく債務の弁済である可能性もある。
(2)反訴被告は,過払金の返還について,悪意の受益者か。
(反訴原告の主張)
 反訴被告は,貸金業の登録業者であり利息制限法を超える金利で貸付けていることを知りながら,反訴原告から返済を受けていたものであるから悪意の受益者である。
(反訴被告の主張)
 反訴被告は,弁済金を受領する時点において不当利得が生じていたことを認識していなかった。
第3 争点に対する判断
1 争点(1)について
〔1〕第三取引の非新規性
 反訴被告は,第3取引は平成12年5月15日締結の基本契約(ローンカード「アメニティ」会員契約)に基づく取引であると主張する。
 しかし,証拠(乙5)によれば,当事者間の取引は,平成6年11月頃,反訴原告が,群馬銀行深谷支店に備え置かれた反訴被告の借入申込書を作成・郵送して始まった事実及びローンカード「アメニティ」会員契約は反訴原告が従前使用していたカードの有効期限が近付いたため,有効期限の更新を図る目的で,やはり同銀行に備え置かれた「ローンカードアメニティ会員入会申込書」を反訴被告に郵送して第3取引の借入申込みをした事実が認められる。
 また,反訴被告がカードの有効期限を比較的短期に設定し,番号の異なるカードを再発行して従前のカードを回収し,カードの有効期限の更新を繰り返している事実は,当裁判所が本件と同種の不当利得返還請求訴訟の審理を通じて職務上知り得た裁判所に顕著な事実である。
 したがって,ローンカード「アメニティ」会員契約を第3取引の基本契約と解するのは相当ではなく,当事者間の基本契約は第3取引以前に締結されていたものと認められる。
〔2〕取引経過
 反訴原告は,反訴被告との取引が,別紙計算書のとおり,平成6年12月2日から開始され同17年7月20日まで継続している旨主張しているところ,平成7年1月12日から同17年7月20日まで返済と借入れが継続していた事実は,反訴原告の群馬銀行深谷支店の預金取引履歴明細表(乙4)によって,明瞭に認められる。
★ところが,反訴被告は,反訴原告との取引経過について,平成12年7月12日以降の取引履歴(甲3)を開示するのみで,それ以前の取引履歴については既に削除或いは廃棄処分したと主張して開示しないばかりか,平成11年12月13日以前の入金は立替払契約に基づく弁済の可能性もあると主張し,なんらの立証もしない。
〔3〕取引履歴の保存義務及び開示義務
★貸金業法19条及び同法施行規則16条は,貸金業者に貸付けの契約について,契約年月日,貸付日,貸付金額,返済日,返済金額等の事項を記載した業務帳簿の保存を義務づけ,同規則17条は,上記帳簿を債権消滅の日から少なくとも3年間保存しなければならないと定め,その違反については罰則を課している(同法49条3項)。保存期間は3年にとどまるわけではなく,3年経過後は帳簿を保管していなくても罰則に問われない趣旨にすぎない。
 また,商法19条2項(平成17年改正前の同36条1項)は,商人に対して商業帳簿の作成を義務づけるとともに,同条3項(改正前の36条1・2項)は帳簿閉鎖の時から10年間,商業帳簿及びその営業に関する重要な資料の保存義務を定めている。この10年間の期間は,帳簿の閉鎖,すなわち,帳簿の使用を廃止した時点から起算される。
 したがって,取引が継続している限り保存期間が満了することはあり得ず,当該帳簿等を削除・廃棄等することは法に違反する。
★更に,取引履歴の開示について,貸金業者は債務者から取引履歴の開示を求められた場合には,その開示要求が濫用にわたると認められるなど特段の事情のない限り,貸金業の規制等に関する法律の適用を受ける金銭消費貸借契約の付随義務として,信義則上,保存している業務帳簿(保存期間を経過して保存しているものを含む。)に基づいて取引履歴を開示すべき義務を負うとされている(平成17年7月19日最高裁判決)。
 同判決は,貸金業法が罰則をもって貸金業者に業務帳簿の作成・備付け義務を課している趣旨について,「債務内容に疑義が生じた場合は,これを業務帳簿によって明らかにし,貸金業者と債務者との間の貸付けに関する紛争の発生を未然に防止し又は生じた紛争を速やかに解決することを図ったものと解するのが相当である。」と判示している。
 また,商法が,商業帳簿及び営業に関する重要書類の保存義務を定めている趣旨の一つは,商人と利害関係人の間で紛争が生じた場合に有力な証拠資料となるからである。
〔4〕反訴被告の取引履歴の保存実態
 反訴被告は,取引履歴の保管状況について,弁済の情報については「本来,完済されれば保管する必要はなくなる。」,「弁済に係る情報(入金履歴)については平成2年1月5日以降分の情報を保管しているが,本件で保管されている情報の最初のものは平成12年7月12日の弁済である。」と主張し,貸付けの情報については「完済後2か月程度でコンピューター上から削除している。」,「貸金業法19条の規定に基づく帳簿として,コンピューター上のカード計算書を他の記録媒体に写して管理・保管しているが,その保管期間は当該記録媒体の作成直後の4月1日から起算して10年とされ、保管期間が経過すると廃棄処分を行っている。」と主張している。
 保存システム及び保存実態は貸金業法,同規則,商法の諸規定を無視する違法なものであるほか,矛盾に満ちており,反訴原告の文書提出命令の申立にも応えず,当裁判所の釈明に対しても従前の主張を繰り返すのみで,各保存規定の意図するところを省みない。 
〔5〕本件の取引履歴の保存期間と保存実態の違法性
 証拠(乙5,15,16)及び弁論の全趣旨によれば,反訴原告は,平成6年12月頃,「トヨタのカルディナ」を購入した事実が認められ,その際に第1取引の借入れをしたもので,同取引を開始した際に,基本契約を締結したものと推認される。
 また,証拠(乙4)によれば,第1取引の返済と重複・並行して,平成8年9月12日から同9年6月12日まで9回にわたって,毎回1万2千余円の引き落としがなされている事実が認められ,第2取引の存在の事実が推認される。上記認定に上述の〔1〕認定事実を併せ考えると,第3取引は第1・第2取引と連続する一連の取引と認められ,反訴原告の最後の返済は平成17年7月20日であるから,貸金業法の定める最終の取引から3年の保存義務期間内にある。かりに,別個の取引としても,商法の定める10年の保存義務期間内にある。
〔6〕証明妨害と真実擬制
 民事訴訟法224条2項・3項は,当事者が相手方の使用を妨げる目的で,提出義務のある文書を使用できないようにしたときは,相手方の主張を真実と認めることができると規定している。
 相手方の使用を妨げる目的とは,訴訟上書証として用いることを妨害する意図があれば足り,提出義務ある文書とは,同法220条で提出義務ありと定められている文書であり,取引履歴を記載した業務帳簿・商業帳簿やこれらに代わる書面・電磁的記録は同条3項後段の法律関係文書に該当するものと認められる。
★保存期間を経過していない帳簿・書類等を正当な理由もないのに毀滅した場合には,たとえ具体的な紛争がなくとも,相手方の使用を妨げる目的で文書を毀滅したことになると解されている(大判昭和6・12・5,裁判例5巻271)。
★取引履歴を基礎とすれば,過払金の有無・額は容易に立証される。反訴被告の取引履歴の削除,廃棄の処分は,顧客から過払金算出の資料として開示が求められることもあることを知りながら,保存期間内にある取引履歴を敢えて削除,廃棄して反訴原告が証拠として使用できないようにしたものと認められる。
★そうすると,反訴原告が,平成6年12月2日及び同8年8月12日の反訴被告からの借入れの事実に関して具体的な主張をすること及び同事実を他の証拠により証明することが著しく困難であると認められるから,民事訴訟法224条3項を適用して,反訴原告が取引履歴によって立証しようとする事実,すなわち,上記両日の借入れの事実及び第1ないし第3取引を通算して計算した結果別紙計算書のとおり過払金が生じているとの主張を事実と認める。
2 争点(2)について
 反訴被告は金融業者であり,反訴原告と利息制限法の制限利率を上回る利息の約定をして取引をし,超過利息を含めた返済を受領していたものであるから,いずれ過払金が生じることを十分認識していたものと認められる。したがって,反訴被告は,本件取引に基づく過払金について悪意の受益者であると認められ,反訴原告に対し,民法704条所定の法定利息を,利得発生日から支払う義務を負う。
第4 結論
 以上によれば,反訴請求は理由があるからこれを認容し,主文のとおり判決する。
(裁判官 堤幸正)

投稿日時 - 2008-07-14 18:37:02

ANo.2

補足します
>貨りてもいない50万を認めたくないし、50万も貨りたら覚えてる

そうならば認める必要はありません。

その事実は否認する。借りていない。といえば立証責任がオリコ側に発生します。

万が一、風向きが怪しくなってきたら、
「借りていない。仮に借りていたとしても弁済した、そうでなくとも時効を援用する」というくらいでいいと思います。

「借りていない」というのは絶対に入れなければなりません。相手が決定的な証拠を出すまで認める必要はありません。上の文章は最初と最後が矛盾しているように見えますが、訴訟では通常こういう使い方をします。これは結局のところどれか認められれば50万円を借りたことを否定できるので、借りたことは認めないけれど、返済義務はないとしてくれるのなら理由はどれでもいいよ、って意味です。

投稿日時 - 2008-07-11 19:19:50

お礼

大変丁寧な回答有難うございます。
回答がくるなんて、期待していなくて感激しました。

オリコ側の弁護士が借りてもいない50万を推定計算で提出してきて、その、何ページもある推定計算書を答弁書で証拠として提出してきました。 
その他にも、同じような推定計算を裁判で認めてもらっている、という判例も提出してこられました。

オリコ側は、答弁書に貸金業者の推定計算が却下された判例があるなら提出されたいと・・・ 
(個人訴訟で提出できるものならしてごらんって感じが嫌です)

利息計算も、紹介して下さっているサイトの物できちんとオリコ側から出された取引履歴で計算して裁判所のほうにも提出しています。

取りあえず推定計算ではなく証拠をだせ!!でいこうと思います。
本当に50万は借りていないので!!

投稿日時 - 2008-07-14 11:17:43

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