こんにちはゲストさん。会員登録(無料)して質問・回答してみよう!

締切り済みの質問

何故インフルエンザは中国大陸から?

ジリジリと近寄る「鳥インフルエンザ」の脅威を感じながら怯える日本国民の一人ですが、何故インフルエンザは中国大陸から発生するのでしょうか?以前世界的流行した「香港A型」にしても所謂「中国」ですよね。私の勤める会社でもリスク管理の観点からインフルエンザ対策プロジェクトなるものを立ち上げています。原因が分かれば対策も打てますよね・・・。

投稿日時 - 2009-01-20 08:01:03

QNo.4645032

暇なときに回答ください

このQ&Aは役に立ちましたか?

2人が「このQ&Aが役に立った」と投票しています

回答(3)

 獣医師でウイルスに専門知識を有する者です。

 会社のインフルエンザ対策とはあまり関係ない話だとは思いますが、基礎知識を持つことは損にはならないので、基本的なことを。

 A型インフルエンザウイルス(正しくはインフルエンザAウイルス)は、元々カモなどの水禽類を自然宿主とするウイルスです。
 このウイルスは、HAとNAという2つの蛋白の型によって、"亜型"に分類されます。HAは16種類(最近まで15種類でしたが、近年H16型が発見されています)、NAは9種類知られており、この組み合わせで144亜型のウイルスが存在することになります。カモからはこの全てが見つかっています(H16だけは最近発見された亜型なので、NAは9種類全て見つかっているわけではなかったかと思います)。

 一方、ヒトに感染し、ヒト社会で流行しているA型インフルエンザウイルスは、現在 H1N1、H3N2 の2亜型です。H1N1をソ連型、H3N2を香港型と呼ぶこともあります。
 肝心な点は、カモも当然H1N1亜型のウイルスを持っているわけですが、カモのH1N1とヒトのH1N1は別物だという点です。同じH1N1でも、カモのウイルスはヒトには感染しませんし、その逆もありません。まあここではHAやNAといった亜型とは別に「鳥型」と「ヒト型」がある、と認識していただいて良いと思います。

 で、このヒトのH1N1とH3N2ですが、別に太古の昔からヒトが保持していたわけではなく、元々はH1N1はスペイン風邪、H3N2は香港風邪が世界的に大流行したときに、鳥から人類社会に入ってきたウイルスなのです。つまりその時点では、これらも「新型インフルエンザ」だったわけです。
 面白いことに、「新型インフルエンザ」が発生して世界的大流行(パンデミックと呼びます)を起こすと、それ以前にヒト社会で流行していたインフルエンザは姿を消す傾向にあります。スペイン風邪の前にも人類はインフルエンザを保持していたわけですが、これはスペイン風邪の発生と共に消えましたし、スペイン風邪のH1N1も、次にアジア風邪が発生した時に一度消えています。後に復活しましたが。
 で、アジア風邪はH2N2亜型だったのですが、これも香港風邪(H3N2)の発生と共に消えました。

 そんなわけで、人類は前世紀に3回の「新型インフルエンザのパンデミック」を経験しています。19世紀にも何回かパンデミックはあったらしく、保存血清の抗体解析によって、どの時期にどの亜型が流行したのか、ある程度は判っているのですが、ウイルスの正体が掴めているのはこの3回ということです。

 余談ですが、スペイン風邪発生の時は、人類はまだ「ウイルス」というものの存在すら知りませんでした。スペイン風邪のウイルスの正体(亜型や遺伝子解析など)は、保存されていた患者の臓器標本などから解析したものです。

 話がなかなか核心に辿り着きませんが、この過去3回のパンデミックについては、質問者さんが言われるとおり中国大陸が発生源だったことが判っています。
 「ソ連型」とか言うのは別に発生源による分類ではありません。ソ連型も香港型もアジア型も、全てパンデミックの起点となったのは中国です。

 それはなぜかというのが今回の質問なのですが、まずインフルエンザウイルスはカモの体内で「ヒト型」に変異することはできません。まあ突然変異自体は偶然の産物なので、カモの体内でヒト型のウイルスが出現する確率自体はゼロではないのですが、そんなウイルスはカモに感染することができなくなるので、速やかに、おそらく人間が張り付いてモニターしていたとしても検知できないくらいに速やかに消失するでしょう。
 そこで豚の登場となるわけですが、豚はたまたまインフルエンザウイルスに対する「鳥型」と「ヒト型」の両方のレセプター(受容体)を持っています。ですから鳥のウイルスにもヒトのウイルスにも容易に感染します。

 さらにインフルエンザウイルスは、その遺伝子の構造的に「遺伝市単位での組み替え」が非常に起きやすいウイルスです。具体的には、このウイルスは遺伝子を8本のRNAで1セットとして持っています。
 例えば、1頭の豚に鳥のウイルスとヒトのウイルスが同時に感染した場合、インフルエンザに限らずウイルスは細胞内に侵入してその細胞の機能を使って自己を複製するのですが、その時、8本1セットの遺伝子がバラバラに1つのウイルス粒子に組み込まれることが起きるわけです。
 なので、「1番目と3~6番目のRNAは鳥型なのだけども、2番目と7~8番目のRNAはヒト型」なんていうウイルスができるわけです。

 というわけで、豚が「生体遺伝子組み換え装置」となって、ヒトに親和性を持った新しい抗原型のウイルスが出現する可能性があり、それが過去3回に起きたこと、と言われています。スペイン風邪は豚の関与については否定的ですが・・・

 アヒルはカモと同じく水禽類ですからウイルスに対する親和性が高く、カモから豚へウイルスを橋渡ししやすい動物になります。
 というわけで、「アヒルと豚を同じ場所で飼うのはヤバい」ということになるわけですが、そんなの中国に限らず世界中至る所で満たしていますよね。日本だってつい最近まではそんな状況だったわけです。
 ではなぜ中国なのか?という点は、中国がシベリアに近い、というのが大きいと言われています。シベリアはカモ類の営巣地ですから、シベリアに近いとそれだけ「ウイルスを持ったカモ」が飛来する確率が高いわけです。日本にも多数のカモが飛来しますが、この程度の数ではとても「豚に侵入→ヒトウイルスと混合感染→新型インフルエンザ」という、極めて低確率の3乗をクリアできないのでしょう。

 ですが、現在の状況はこれとはまた少し様相が異なります。

 また始めからまだるっこしく説明しますが、A型インフルエンザウイルスの自然宿主はカモ類であり、カモ類ではこのウイルスは"病気"を起こしません。ウイルスは特に増えもせず、平和に静かにカモ類と共存しているわけです。それでも感染すると免疫によって排除されるので、カモとはいえウイルスを保持している個体は非常に低確率なのですが。

 ところが鶏はこのウイルスに非常に感受性が高いため、感染すると呼吸器症状を発症したりして、ウイルスは激しく増殖します。むろん無症状の場合も多々あるのですが、それでもウイルスの増殖はカモでのそれとは比べものにならないくらい激しいです。
 しかも具合が悪いことに(人間にとって)、鶏は「家畜」ですから、野生動物では考えられないくらいの密度で生息しています。つまり「鶏→鶏」の感染は、べらぼうに効率よく拡大していくわけです。
 つまり、カモの体内にいるときとは、ウイルスの増殖回数が桁違い、それも10の後にゼロをいくつ足せばいいのか見当も付かないくらい桁違いに多くなります。
 すると極めて低確率だったはずの「感染した鶏を100%殺してしまうウイルス」への変異を、実際に果たしてしまうことがあるわけです。これが「高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)」です。

 さらに鶏の間でHPAIがまん延すると、元々鳥型のウイルスは人間にはほとんど感染しないはずだったのが、確率は低くとも分母が莫大な数字になれば、実数としてそういう事例が出現してしまうわけで、それが今アジアで起きていることです。しかも都合が悪いことに、アジアでまん延したHPAIのウイルスは、鳥型の中では比較的「ヒト型」に近いウイルスだったことも大きいです。(過去日本で発生したHPAIは鳥型ど真ん中のウイルス)

 で、鳥型のインフルエンザが比較的頻繁にヒトに感染するようなことが起きるとどうなるか、ここまで読まれればもうお判りかと思いますが、クラシカルな「新型インフルエンザ発生モデル」では豚が「遺伝子組み換えによって新型インフルエンザウイルスを製造する生体遺伝子組み換え装置」だったのが、今回はヒトそのものが同じ役割を果たす可能性が高くなってきているわけです。

 ですから、現在危惧されている新型インフルエンザに関しては、起点は中国とは限りません。東南アジアかもしれませんし、アフリカかもしれませんしヨーロッパかもしれません。この東南アジアのHPAIウイルスは、渡り鳥によって世界中に運搬されていますから。

 まあそうやって世界が東南アジアに注目している間に、過去3回と同じように別の亜型の新型インフルエンザが中国から唐突に発生したりするかもしれませんけどね。

 ちなみに"アジア風邪"はヒト社会から消えて久しいですが、世界のどこかで生き残っている可能性もゼロではありません。これが何かのきっかけで世界的な流行を起こせば、現在の人類の大半はこのH2N2に対する抗体を持っていませんから、新型インフルエンザが発生したのと同程度の大流行になるかもしれません。

 あ、そうそう、インフルエンザの亜型(H○N○)は腹の中で組み合わされるわけではないです。ウイルスの構造として最初から持っているものです。

 これがインフルエンザウイルスに関する、ほんの少しだけ専門的な基礎知識です。実際の対策にはあまり関係ない話とは思いますが、このあたりの話をきちんと理解しておけば、新聞記事やニュースをより深く理解することもできるでしょう。

 少なくとも、現在北海道の湖沼で野鳥の調査を国や自治体が力を入れてやっているのを、「新型インフルエンザが北海道を真っ先に襲うことが危惧されている」などというバカな誤解はしなくて済みます。

投稿日時 - 2009-01-20 20:03:33

お礼

回答が遅くなり申し訳ありません。長期出張していたため御礼が遅れました。詳細に渡りご回答並びにご解説頂きましてありがとうございました。参考にさせて頂きます。

投稿日時 - 2009-02-04 08:10:40

ANo.2

インフルエンザはA,B,C型の3種あります
ころころ型が変わるのがA型です

インフルエンザの表面にはHA NA という突起があります
人のインフルエンザはH1,H2,H3
NAはN1N2

鳥インフルエンザはけっこう種類があって
HAは15種類
NAは9種類
(お腹の中でH○N○という風に組み合わせが作られます)


中国ではアヒルや豚を家畜にして側で人が住んでる所がありますよね
ここが新たなインフルエンザの原因だったりします
(同じような環境があれば、そこから新型が発生する可能性があります)
豚は鳥のインフルエンザにも人のインフルエンザにも感染します
通常、鳥のウイルスは人間にうつりませんが、豚は人間、鳥両方のウイルスがうつります。その豚が鳥のインフルエンザウイルスに感染し、さらに同じ豚が人のインフルエンザウイルスに感染すると、
その豚の体内で人間と鳥のウイルスの遺伝子の一部が置き換わったりします
こうして人にも感染する新型が発生します

国際協力のもとで監視体制が敷かれているそうです。

投稿日時 - 2009-01-20 09:55:33

お礼

御礼が遅れて申し訳ありません。ご解説ありがとうございました。

投稿日時 - 2009-02-04 08:38:09

ANo.1

ソ連(ロシア)型もあるよ。

投稿日時 - 2009-01-20 09:06:44

あなたにオススメの質問